キャップの溝にこびりついた何か

剥がすの楽しいよね

ライブ DVD の話(Phantasia of Light & Darkness FINALのDVDを観て)

 

≪M.S.S Project Phantasia of Light & Darkness FINAL at 日本武道館 DVDの内容に言及しているのでネタバレにご注意ください≫

 

 

イベントのDVD化ってあんまり好きなものじゃないんだけど、推しのライブDVDは買ってよかったと思えたって話です。

 

 

 

 

生モノの円盤化、映像化というものがめっぽう苦手だった。いや、今も正直苦手だ。

特に自分が直接観たものについては、追々DVDになっても買ったことはない。

生モノは、その価値のかなりの割合にノリと勢いに因る部分が構成されていると思っているから。

 

ライブはMSSPのそれ以外全く行ったことはないが、演劇を観に行くことがしばしばある。

大きなもので言えば東京芸術劇場野田秀樹演出の興行。小さいもので直近で行ったのは古民家を改築したギャラリーで行われた、

キャパ20人強の一人芝居。

これらは特に気に入っていて、どちらも映像化、円盤化はされていない(野田作品に関しては有料放送でしばしば見れるらしい)が、仮に販売されていたとしても手に取ることはなかっただろうと思う。

演劇は一期一会の世界だ。公演毎にその大筋の展開は同じでも、客の構成、反応の有無によって役者の行動は如実に変わるし、演出から変わることもある。

そういった柔軟さはあれど、やはり人間がその場にいて作りだすモノであるからして、どうしても粗、ミスが出る。

もちろん、リテイクはできない。

それをある程度受容できるのは、やはり一度きりだからだと思う。というか、記憶の中で再構成していくうちに、些細なものは忘れられるのだ。思い出してしまうようなものは、それはそれ。

 

M.S.S Projectのツアーライブで言うならば、昨年北海道で行われたライブでの、『THE BLUE事件』だろうか。

ライブDVDのオーディオコメンタリーでも本人たちが触れていた、初音ミクによる歌唱が『THE BLUE』で流れず演奏が中断したという話。(PAという分野のトラブルだったように思う)

その出来事を抜きにしても、あの日のライブは色々と異様な雰囲気だった。

大元の原因はおそらく、前日22日から続いていた札幌の豪雪。午前中までの羽田発新千歳着便は飛んでいたが、それ以降はほとんど欠航していた記憶がある。

MSSPツアー一行も前日入りの予定がそれに巻き込まれ、急きょ北海道新幹線とバス移動で当日朝になって札幌に到着して、というスケジュールだった。ホテルに滞在できたのも一瞬だったという。

本人たちはその疲労をおくびにも出さなかったが、まあ、そういう事故があってもおかしくない状況だったよね、と推察できるだけの状況にはなっていた。

あの一件以来、きっくんは以前からしていた「ライブができることは当然じゃない」といった旨の発言をより頻繁にするようになったように思う。自分たちが、スタッフや機材が、ファンが、会場にたどり着けないかもしれない。他にも色々、ライブができなくなる要因はたくさんあって、その上でライブは奇跡のようなものなのだ、と。それだけ本人の中で強く印象に残った場に立ち会えたのなら、それはそれでライブの醍醐味だと思う。

そういった背景があったので、「なんか面白いものが見れたな」程度で済んで、今も時々思い出しては「大変な思いをして北海道に行ってよかったな」と思ってる。単純に彼らの故郷に行けた嬉しさもあるけど。

そしてその背景は、あの場に立ち会ってなければ感じ取れないものだったから、仮に北海道公演が映像化され、モニターであのシーンを見たなら、多分それなりに怒ったはずだ。

 

冗長に語ってしまったが、要するに生だから許せるトラブルや記憶の中で淘汰されていく些細なミスも、映像化されたら事情が変わってくるので、基本的に現場に立ち会った作品の円盤は見たくないのだ。

そんな人間が、今回MSSPの初ライブDVDである今作を購入したのは、単純にパッケージが綺麗だったからだった。あとチケットホルダーとスタッフパスが死ぬほど欲しかった。あと安かった。1万2千あたりから躊躇していたかもしれない。どちらにせよ買ったような気はするが。

 

DVDが届いて、とりあえず買ったものは観ようと、唯一のDVDプレイヤーであるPS4にディスクを差し込んだ。

武道館では、楽しい思い出の中に、いくつか忘れたい出来事もあったので、それらを強く思い出すようだったらその場で視聴をやめようという気持ちでいた。

 

結論を先に言うと、まあ、ただの杞憂だった。

 

本編1周して思ったのは、「ああ、ちゃんとした映像作品になったんだな。」だった。トレーラーの時から映像と音声合ってなくね?って思ってたところがそのまんまだったのちょっと笑ってしまったのけれど。

ちなみに視聴の順番は、Disk1→Disk2(副音声無)→Disk3→Disk2(副音声有)の順だった。

武道館の、あの場に立ち会って見届けたものとは全然別物のように感じた。

自分があの場で視線を向けていたものと全然違うところを映していたから当たり前なんだろうけれど、それにしても、武道館にちゃんと地に足つけてる4人になぜか驚いた。あと武道館で感じたよりもずっと技術あるんだな、って感心した。そういうところ映像化にあたって多分多少はいじってるんだろうとは思うが、それにしても。

FBさんはあまりにも堂々としすぎだと思う。きっくんには、やっぱり少し「ごめんね」と思った。あろま先生の時々見せるアツさは、映像化されてよりわかりやすくなった。えおえおさんは……いや、なんか自分の中で美化しすぎて正当に評価できない。愚直すぎて怖いなと思った。この感想は武道館後最初の本人のブログで感じた印象だけれど。

 

今朝の7時から、休憩とか食事をはさみながら全編みて、15時。この間、割とビクビクしながら見ていたので、具体的な感想はできないのだが、とりあえず今後繰り返し視聴しても安心して見られることがわかったので何かとヘビロテしたい。

 

あー、MSSPを信じてよかった。